無排気を実現するクローズドサイクル水素エンジンとは
これまでの内燃機関と違い、クローズドサイクル水素エンジンは排気ガスを生成せず、系外に排出しません。それは、エンジンの吸気系と排気系をつなぎ、系をクローズドにして内部に作動ガス(アルゴン)を封入し、系内に水素と酸素を供給して点火しエンジンを作動させますが、生成物は水のみであるためです。(Fig.1参照)つまり二酸化炭素などの環境負荷物質を排出しないのです。また、化学的に単体で安定しているアルゴン(希ガス)を作動ガスに使用することで、これまでの水素エンジンのネックであった効率とNOxの関係を解決します。
Fig.1 クローズドサイクルの模式図
クローズドサイクル水素エンジンの再生可能エネルギーシステムにおける位置づけ
これまでの水素エンジンは水素のみを使用していました。クローズドサイクル水素エンジンでは、水電解で得られた水素と酸素の両方を使用するため、これまで以上に無駄の少ないシステムが実現できると考えています。
Fig.2 再生可能エネルギーの将来像
アルゴンを作動ガスとしたクローズドサイクル水素エンジンの利点と今後の課題 | |
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無排気 | アルゴンを作動ガスとしてクローズド系内に封入することで、純粋な水素と酸素の化合を促し、二酸化炭素などの環境負荷物質を排出することなく運転することができます。したがって電池のように室内などでの使用が可能となり、用途の可能性が広がります。 |
高効率 | アルゴンは化学的に単体で安定している単原子分子であるため、原子の運動の自由度は3自由度のみです。したがって与えられたエネルギーをより多く仕事に利用することができます。 |
軽量 | 当エンジンは無排気であり、水のみを排出するため、排気系部品の重量を削減することができます。 |
貯蓄 | 日本の太陽光による発電容量は年々増加しており、近い将来そのエネルギーを貯蓄するシステムが必要になるといわれています。当エンジンは水電解によって蓄えられた自然エネルギーを効率よく使用することができると考えています。 |