東海大学陳研究室

燃料電池セル

fig.1 実験用燃料電池セル

アイオノマー拡散について

燃料電池のコストダウンを実現させるため白金触媒の有効利用率を向上させ、セル性能維持したまま白金使用量の低減を目指します. その一つの手段として、アイオノマーの拡散を促進させることで被覆の厚みを低減し、プロトンの伝導と酸素の拡散を両立させます. セル性能は出力で決まり、同じ電流を加えたとき、より電圧が高いほど出力が高くなります. 発電状態では、抵抗により電圧が低下します. その電圧の低下を分極といい、分極には、酸素還元反応が遅れることによる活性化分極、電子の移動抵抗による抵抗分極、ガスの拡散が阻害されることによる拡散分極があります. その中で、活性化分極の影響が最も大きいのです. しかしながら反応速度を向上させることは難しいです. そこで、反応面積を増加させて反応数を増やすことで電圧降下の低減を目指します. 白金の表面をアイオノマーで被覆することにより、反応面積を増加させることができます. しかしながら、均一に分散させることは難しく、アイオノマーに被覆されない白金が存在します. また、被覆されている白金はアイオノマーの厚みが増大し、酸素の拡散を阻害してしまいます. そこでアイオノマーの分散を促進させ、均一により多くの白金にアイオノマーを被覆させることで、反応面積を増加させ、かつ酸素の拡散を阻害させないようにします. アイオノマーの分散を促進させる方法として、触媒インクを作製する際に用いるアルコールの種類を変更するか、攪拌時に加熱および加圧をすることを検討しています.

インピーダンス法を用いた触媒抵抗とアイオノマー被覆率の計測

PEFC燃料電池における触媒層のプロトン伝導抵抗は、セルの発電性能に直接関わる重要な指標の一つですが、触媒層が薄く、電解質膜と密着しているので測定するのは困難です。本研究は水素/窒素交流インピーダンス法を用いて触媒層抵抗の計測を可能にします。
PEFC燃料電池におけるアイオノマー被覆率も、セルの発電性能に直接関わる重要な指標の一つですが、直接測れない、化学反応を参加しないので、測定するのは困難です。本研究は水素/窒素交流インピーダンス法を用いてアイオノマー被覆率を可能にします。

酸素拡散係数の測定

固体高分子型燃料電池(PEFC)における触媒層内の空間構造を含めて、全体の触媒層を評価することは重要です。本研究の手法として、微小電極および専用公式を用い、触媒層内の酸素拡散に由来する電流から、酸素拡散係数を求める研究を行っています。

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