研究室紹介坂本研究室Laboratory

教員紹介

坂本 俊之T.Sakamoto

身分: 専任教授
専門分野:動力・輸送機械工学(ハイブリッド電気自動車,電気自動車領域)、エネルギー変換工学(エネルギーストレージ領域)、計測工学(実車計測診断領域)、制御工学(電気制御システム領域)、マネジメント工学(総合技術監理)

研究テーマ

  • 電動車両用エネルギーストレージの制御技術に関する研究
  • 自動車の計測診断技術に関する研究
  • ヒートパイプを用いた熱制御技術に関する研究
  • 電動車両用駆動モータ/発電機の応用制御技術に関する研究

研究内容

ハイブリッド電気自動車などの機械/電気/電気化学エネルギー変換と制御に関する実験的および解析的研究を行うために新たに立ち上がった研究室です。ハイブリッド電気自動車のパワープラントは、機械/電気/化学領域のテクノロジーにより構成されているため取り組むべきテーマも多岐に渡ります。本研究室では、Interdisciplinary research (学際領域)へ果敢にチャレンジすることで、産業界や社会での実用化に向けて研究成果を発信して行きたいと考えております。

  • 電動車両用エネルギーストレージの制御技術に関する研究
    電動車両のパワープラントの中で、エネルギーストレージであるバッテリは化学反応を伴います。このため劣化、活性低下やその他の問題(メモリー効果など)が避けられません。様々な環境で使われる車のバッテリの状態を簡単、早く、正確、低炭素に診断できる技術があれば制御やメンテナンスのための重要な情報が提供できます。バッテリ交換の機会を下げることが可能となり社会資源を無駄にしません。電動車両は環境車としてグルーバル展開が期待されており、信頼性やコストの面からも本格普及に繋がる不可欠な研究課題です。
  • 自動車の計測診断技術に関する研究
    自動車の試験装置というとエミッションシャーシダイナモがまず頭に浮かぶと思います。試験では、法規モードに基づいたスピードプロファイルに従ってシャーシダイナモ上を走行し排ガス燃費を測定します。測定結果は燃費ラベルとなってメーカーのカタログ値となりますが、実際に走った燃費と合わないようです。道路には起伏やカーブがあるため、真っ平らな平地を走行する法規モードとは条件が異なるからです。そこで、計器を使い道路情報、車両情報を収録しながら実際に走行し、シミュレーション解析を通して様々な課題をブレークスルーする研究に取り組んでいます。
  • ヒートパイプを用いた熱制御技術に関する研究
    ヒートパイプは、管内に封入した液体の蒸発と凝縮の潜熱を利用して、熱を繰り返し移動させるものです。積極的に外部動力を使い熱移動させる冷蔵庫やエアコンなどに使われているヒートポンプとは異なります。ヒートパイプは外部動力が必要なく環境にやさしいのですが、熱移動容量は環境温度との間にできた多少の温度差を埋める程度で大きくありません。蒸発と凝縮は一瞬のうちに終わり、熱の移動はとても速く行われます。
    当研究室では、このヒートパイプを使ってバッテリの熱マネジメントに挑戦しています。電動車両用バッテリは、常温±20℃程度の狭い温度範囲でしか使えません。バッテリユニットは多くのセルを繋いで構成します。各セルは独立しており、温度がバラつかないように管理する必要があります。ヒートパイプは、常温域で起こる温度バラつきを抑えるのにはとても効果的なデバイスであるといえます。
  • 電動車両用駆動モータ/発電機の応用制御技術に関する研究
    ハイブリッド電気自動車の駆動用パワープラントのエネルギーの流れと制御について応用研究の準備を進めています。モータ/発電機は制御性と効率の点で永久磁石式同期モータが使われています。この制御はセンサレスベクトル制御などの技術が用いられるようになっています。今まで以上に制御性に磨きがかかることでエンジンとモータのシームレスな制御移動が可能となり、ドライバビリティの向上となって現れています。当研究室では実験的及び解析的研究を通してモビリティの面白さへ繋がる応用制御に取り組みたいと考えております。

ハイブリッド動力基礎実験装置

エネルギーストレージ状態診断・解析装置

主な論文
  • Toshiyuki SAKAMOTO,Battery SOC State of a Hybrid Electric Vehicle,2009年7月、(社)日本機械学會英文ジャーナル、2巻2号121-132頁
  • Toshiyuki SAKAMOTO,Electric Load Analysis of a Hybrid Electric Vehicle,2009年6月、(社)日本機械学會英文ジャーナル、2巻2号66-77頁
  • Toshiyuki SAKAMOTO,Simulation of Battery SOC State of a Hybrid Electric Vehicle,2009年4月、(社)日本機械学會英文ジャーナル、2巻1号33-42頁
  • Toshiyuki SAKAMOTO,Evaluation of Battery SOC State of a Hybrid Electric Vehicle on an Emission Chassis Dynamometer with Gradient Road Load Simulation of a Real World Descent Drive,2009年1月、(社)自動車技術会論文集、40巻1号69-74頁