研究室紹介高橋研究室Laboratory

教員紹介

高橋 俊T.Takahashi

身分: 准教授
専門分野:数値流体力学

研究テーマ

  • ダウンフォース増加のためのウィング端部形状の研究
  • ダウンフォース増加のための可変ピッチ・可動ウィングによる非定常空力の研究
  • 管内ファン後流で生じる流体連成振動の研究
  • 高効率な大規模流体シミュレーション手法の開発と応用

研究内容

当研究室では流体力学に基づいて、実際の工学製品の性能向上や諸問題の原因解明と対策の検討、新規性の高い流体機械の研究開発に取り組んでいます。またこれらの研究には、近年のコンピュータの発展によって強力なツールとなった数値シミュレーションを活用しています。これまで大型計算機の性能は10年間で約1000倍近く向上してきており、今後もこのトレンドが続いていくことが予想されます。一方で今後の様々な工学問題の解決や性能向上は、今以上に厳しいターンアラウンドの中で実現することが望まれていくでしょう。そのような中で、シミュレーションを効果的に用いて物理現象を再現・予測することは必須のこととなります。もちろん、その際には正確な実験データとの比較検証も不可欠です。これらの背景から、当研究室では実験的手法と数値解析手法の両面から種々の問題にアプローチを行い、現象解明と新技術の発見につなげることを目的に、研究を行っています。

  • ダウンフォース増加のためのウィング端部形状の研究
    自動車に関して流体力学が威力を発揮する現象のひとつに、車体の空気抵抗低減があります。近年の低抵抗を誇る車体では抗力係数が0。25程度と、非常に低い抵抗を達成していることは自動車が好きな方であればご存じでしょう。同様に車体周りの気流が走行性能に大きく影響する現象に、車体に生じる揚力があります。走行中に過大な揚力が生じるとタイヤのグリップが低下し、走行安定性が損なわれる場合があります。そこで、揚力の逆向きの力であるダウンフォースを増加させて、走行安定性を向上させるのが本研究のねらいです。その中でも本研究では特にリアウィングから生じるダウンフォースに着目し、リアウィングの端部形状の影響について調査しています。翼端形状はこれまで自動車の他にも航空機において長い間研究されてきており、翼端部で生じる渦の影響から空力性能への寄与が大きいことが知られています。そこで本研究では、効率的なダウンフォースの発生に効果的なウィング端部形状を探すべく、研究を進めています。
  • ダウンフォース増加のための可変ピッチ・可動ウィングによる非定常空力の研究
    自動車が好きな方であれば、上記の1のように自動車のリアウィングが車体のダウンフォースを増加させてタイヤのグリップを向上させるためのデバイスとであることをご存じだと思います。その中でも可変機構を有するリアウィングを搭載した市販車があることを知っている方は、より自動車が好きな方でしょう。ここで、近年の流体力学と自動車の関係において欠かすことのできない非定常流という言葉があります。非定常流とは時間的に変化する流れ場を指し、流体力学では過渡的な流れ場の変化や、そこから生じる力の時間応答などを指します。本研究では、リアウィングから生じるダウンフォースと周囲の気流の非定常現象の関連性について、可変・可動ウィングを対象に研究を行い、より高性能なダウンフォース発生デバイスや、そのための鍵となる流体現象について研究を行っています。
  • 管内ファン後流で生じる流体連成振動の研究
    自動車をはじめとして多くの機械製品において用いられているファンですが、薄肉管内に設置されたファンの機構では、時として流体構造連成振動が生じる場合があります。一般に流体構造連成振動は、流れ場の支配的な周波数と構造物の周波数が近づくことにより生じますが、そのような現象が生じると、ファンと周囲の管壁が接触・干渉して危険なのは当然のこと、振動が生じるだけでも機械要素の継続的な使用には非常にマイナスとなります。薄肉管の振動の研究はこれまでに長い歴史がありますが、近年の複雑化する構造の機器においては、詳細な研究を実施して原因の特定と現象の理解に努める必要があります。そこで本研究では複雑な構造の機械製品の流体構造連成振動に対して、実験と数値解析の両面から研究を行っています。
  • 高効率な大規模流体シミュレーション手法の開発と応用
    初めに記したように近年の計算機性能の進歩は非常に目覚ましく、まさに日進月歩と言えます。その中で我々工学研究者は、そういった高性能な計算機の性能をフルに発揮して、より良い製品の開発に生かしていくことが強く求められていくでしょう。スーパーコンピュータは近年になり多くの場面で名前を聞くようになってきましたが、その性能を遺憾なく発揮するソフトウェア、もっと詳細に言えばソフトウェアを構築するアルゴリズムが鍵となります。そこで本研究室では数値流体力学を基礎に据えて、より高速・高効率に正確な解を求める数値解析アルゴリズムについて研究を行っています。

2億点格子によるフォーミュラカー周りの大規模流体シミュレーション例

研究室HPアドレス(個人サイト)

http://www.ed.u-tokai.ac.jp/fluid/

担当授業

入門ゼミナールⅠ
入門ゼミナールⅡ
流体力学
動力機械基礎演習
動力機械基礎実験
シミュレーション工学
カーエアロダイナミクス
カーデザイン
動力機械ゼミナール
卒業研究
熱流体の数値解析特論
機械工学特論A

所属学会

日本機械学会
日本自動車技術会
日本航空宇宙学会
日本流体力学会
日本計算工学会
日本太陽エネルギー学会
アメリカ航空宇宙学会

主な論文
  • Nagata, T., Nonomura, T., Takahashi, S., Fukuda, K.,
    “Investigation on subsonic to supersonic flow around a sphere at low Reynolds number of between 50 and 300 by direct numerical simulation”,
    Physics of Fluids 28 , 056101 (2016); doi: 10.1063/1.494724.
  • Mizuno, Y., Takahashi, S., Nonomura, T., Nagata, T., Fukuda, K.,
    “A Simple Immersed Boundary Method for Compressible Flow Simulation around a Stationary and Moving Sphere”,
    Mathematical Problems in Engineering Volume 2015 (2015), Article ID 438086, 17 pages http://dx.doi.org/10.1155/2015/438086.
  • Takahashi, S., Nonomura, T., Fukuda, K.,
    “A Numerical Scheme Based on an Immersed Boundary Method for Compressible Turbulent Flows with Shocks: Application to Two-Dimensional Flows around Cylinders”,
    Journal of Applied Mathematics Volume 2014 (2014), Article ID 252478, 21 pages http://dx.doi.org/10.1155/2014/252478.
メールアドレス

takahasi★tokai-u.jp
※ ★を @ に置き換えて下さい。