共鳴効果を利用した吸音型騒音抑制デバイスの最適設計
研究目的:
吸音材と共鳴器の効果を組み合わせた騒音抑制デバイスが提案されています.このデバイスでは,吸音材のみ
では騒音抑制効果が十分でない周波数帯域において、共鳴器を組み合わせることて効果を補っています.現時点では,吸音材の容積や共鳴器形状に
ついての設計法が確立されていないため試行錯誤を経て仕様が決定されています.
本研究では,吸音材の容積,設置場所および共鳴器形状の最適化を行うことによって騒音抑制デバイスの性能を改善し,環境負荷低減に寄与する
ことを目的としています.
研究内容:
Fig.1に示す吸音型騒音抑制デバイスにおいて,開口部面積,吸音性材料厚さ,共鳴器奥行,頸部長さに
ついて吸音率が最大となる組合せを求めました.得られた組合せをもつ吸音型騒音制御デバイスの垂直入射吸音率をFig.2の実験装置を用いて
伝達関数法に基づき測定しました.その結果をFig.3に示します.吸音性材料をダクト終端に設置した場合(b)に比べて,本研究で提案する
吸音型騒音抑制デバイス(a)を用いた場合には,約2kHzまでの周波数帯において吸音率が大幅に改善されます.この結果は,本研究で提案す
る設計法の妥当性,有効性を示していると我々は考えています.
Fig.1 吸音型騒音抑制デバイスの例
Fig.2 実験用ダクト
Fig.3 提案型(a)と従来型(b)の垂直入射吸音率の比
較
今後の課題:
本研究においては,仕切り板開口部面積および厚さ,共鳴器容積,吸音性材料について設計最適化を行ってい
ます.昨年度の結果では,共鳴器の効果をさらに活用できる可能性が残されています.今年度では,低周波数域における性能改善のために,共鳴器
の特性を今まで以上に活用することを検討します.